「西正のメディア金融トリップ」サンプル

=================================================

西 正のメディア金融トリップ
2013年10月7日 Vol.66

=================================================

◆今週のテーマは・・・

西正のメディアコラム【 広告費の決まり方と視聴率 】

広告費の決まり方について、誤解されがちな視聴率との関係や、スポンサー企業が何を
重視するのかといった点について解説します。

「半沢直樹」のような大ヒットドラマが出てくると、一気に広告収入も上がるのではな
いかと勘違いされがちです。今週は「続かないと意味がない」といった話です。

================================================

<西正のメディアコラム>

広告費の決まり方と視聴率

テレビ広告費には、タイム広告とスポット広告がある。タイム広告費を支払うスポンサーは、番組
制作費も負担することから提供スポンサーと呼ばれる。
スポット広告は、番組と番組の間のステーションブレイク(ステブレ)に流される。

いずれも視聴率が広告費を決める指標となっているが、その反映のされ方は異なっている。
視聴率が高ければ、広告収入が増えることは確かだが、増収までのタイムラグの長さが全く違って
いるのである。

勘違いされることが多い典型は、連続ドラマの視聴率の良し悪しで、提供スポンサーが得をしたと
か損をしたと言われるケースである。
ドラマは放送番組の中でも当たり外れが大きいジャンルであるが、初回視聴率が30%を超えるか、
一桁台の前半に終わるかは、ドラマ初回の放送が終わってから分かることで、事前には知りようが
ない。しかし、その初回の放送時にも提供スポンサーのCMは流れているのだから、後払いにでも
なっていない限りは、損も得もしようがないことになる。

米国のテレビ広告は、大半がスポットであり、提供スポンサーが付くのは、スーパーボウルの中継
等、限られたケースのみである。そのせいか、米国では提供スポンサーに対する補填制度が採られ
ているが、日本にはそうした制度はない。

放送局とスポンサー企業との間の契約は、当然のことながら、放送前に行われるので、放送後の視
聴率の高低は、結果論のようなものでしかない。
テレビ放送は4月から翌年の3月までの1年間を3ヶ月ごとの4つのクールに分けており、3月と9月
に大きな改編を行うことになっている。タイムであれ、スポットであれ、第一クールとなる4月か
ら6月の分は、遅くとも3月の始めまでには売り切っておかねばならないと言われたものであった。
テレビ広告市場が活発な時期には、3月の頭に第二クールとなる7月から9月の広告も売り切ってし
まえるのが普通であった。

タイム広告の場合は、特定の放送枠への提供が継続的に行われるケースが多いため、契約時に指標
とされるのは、それまでの実績なのである。過去の平均視聴率が好調か不調かによって、契約時の
広告費が決まるということであり、肝心の放送番組の視聴率については、放送局と提供スポンサー
の両者が、それぞれリスクを負うという形になっている。

過去の実績が重要である以上、いくら企画書ベースで契約が行われ、その企画が人気者のタレント
を起用することによって高視聴率が期待できるものであっても、それを理由に広告費を引き上げる
ことは、全く異なるジャンルの、全く異なる番組をスタートさせる時ですら、簡単な話ではないと
言われている。

スポット広告費は決まり方こそ違うが、やはり過去の平均視聴率によって、放送局の収入が変わる
ところは同じである。
そもそも一つの枠に継続して提供スポンサーとして付いてくれる企業に対して、その枠の視聴率が
高くなったからといって、広告費を1.5倍とか2倍に上げることは有り得ない。高視聴率をマークし
ながら、改編期の都度、5%〜10%の値上げをお願いしていくのが精一杯であると言われている。
一つの枠の視聴率でも、他局に追いつき、追い越すには、5回から6回ぐらいの改編を経なければな
らない。

また、その放送枠が一社提供ではなく、複数社が提供している場合、提供している企業が支払う広
告費は、それぞれ全く別料金になる。高視聴率を安定的に獲得していった結果として、広告費が上
がっていくことにより、脱落するスポンサー企業も出てくる。そこに新規で入ってくる提供スポン
サーは、高視聴率になってからの参加となるため、最初から広告費も高くなるからである。


◆スポンサー企業が重視すること

ステブレ枠に流されるスポット広告費を決める指標となるのも、その前後の枠で放送される番組の
視聴率であるが、タイム広告費よりは直近の視聴率の成果を反映しやすくなっている。

スポット広告費は、GRP(Gross Rating Point:延べ視聴率)で契約される。すなわち、1000%
で1億円といった決め方である。
月曜21時に放送される番組の直前に流れるCMでは、21時放送開始直後の視聴率が25%であれば
25とカウントする。同じCMが23時の番組の前に流れ、23時の番組の視聴率が10%であれば、10
とカウントする。その数の合計が1000になって、1000%で1億円という契約になる。

民放は、放送時間が一日に24時間しかなく、自主規制で広告が18%と決められている限界産業で
ある。25%の番組が多くあれば、1000%契約のスポンサーのCMは40本で達成できるが、10%の
番組ばかりであったら、100本流さなければならなくなる。
つまり、高視聴率を多く持つ局の方が、より多くのCMを流すことが可能になるため、売り場面積
を広げることが出来るのである。

スポット広告の方が粗利は高いことを考えれば、民放が高視聴率にこだわるのは当然のことである。
時間帯によって、ターゲットも変わってくることを考えれば、売り場面積を広げることにより、
多様なスポンサーを誘致しやすくなるからだ。

タイム広告のスポンサー企業は、スポットのスポンサーにもなっている。それだけに、提供番組に
対する要望も、データを重視した厳しいものとなる。テレビ広告に熱心なスポンサーの場合には、
局のプロデューサー、編成、営業の担当を交えて、一か月に2回ぐらい、前4週の視聴率と、その分
析を徹底して行い、それを踏まえて次の4週の放送に反映させていくといったミーティングを継続
的に行っていくこともある。

番組内容を放送局任せにして、資金だけを提供しているわけではない。スポンサー企業側にも、放
送番組に対する目利きがいるということだ。単純に視聴率の推移を見ているだけではない。

ドラマを例に挙げれば、一年間に4シーズンあって、週に5本のドラマ枠があるとすれば、トータル
で20シーズンになる。一人のプロデューサーで年間に2シーズンを作るとすれば、10人は必要にな
る。ディレクターであれば、1シーズンに3人とすれば、30人が必要になる。

スポンサー企業が最も重視するのは、優秀なプロデューサーやディレクターがそれだけの数だけ、
育てられているかどうかということである。放送局側が人材を育成するのにも相応の時間を要する
ことを考えれば、その点に対する評価を上げていくのにも何年もかかることになる。

人材育成に時間を要し、高視聴率を増収に反映させるのにも時間を要することを考え合わせれば、
そこで競い合ってきた地上波局の制作能力が、コンテンツ業界で群を抜いている理由にも頷けよう
というものである。

================================================

サンプル版をご覧いただきありがとうございます。
メルマガ会員にご登録いただける場合は下記からお申込みください!

今すぐお申込み

================================================

当メルマガに関する、ご意見・ご感想をお待ちしております。
お気づきの点等ございましたら、お気軽に事務局までご連絡ください。
何卒、よろしくお願い致します。

================================================

オフィスNとは…
メディアコンサルティング&アドバイザーの西正が代表を務める会社です。
西正の経歴はコチラ⇒ http://www.officen.co.jp/office_n.html
西正の著書はコチラ⇒ http://www.officen.co.jp/books.html

================================================